染付け・下絵付けの基礎知識と技法 PartII


下絵付け

下絵付けは、中国で明は青花、 朝鮮 李朝の染付けや、誘絵(さびえ)と呼ばれて技法があります。

呉須(呉州)染付け

呉須染付けは中国、元代に起こり、明の時代に完成されたものです。青化(青華)は釉薬の下に描かれた青く発色することから、釉裏青とも言われるそうです。この技法が、朝鮮に伝わり李朝初期に染付けが生まれ、江戸初期に朝鮮の陶工、李参平によて有田に伝えられます。pic_0305

染付けと言う言葉は、素焼した素地に絵の具が染み入ることから、染付けとよぼれるようになったようです。一般には、呉須による絵付けを指します。

戦前は中国さんの唐呉須と言う、自然の良質のものが輸入されていて、支那呉須や旧呉須といわれたそうです。成分は、呉須鉱と言うマンガン、コバルト、鉄分などを含む、粘土鉱石です。 最近では、天然お呉須鉱が手に入りにくいため、合成呉須が使われています。

この呉須の成分は、酸化コバルト15、二酸化マンガン25、紅柄10、カオリン10、 コバルトとマンガン、紅柄が着色材。コバルト 青、マンガン 紫、紅柄が褐色になり、この混合で美しい藍色になるそうです。cimg3621

呉須染付けの技法

呉須絵の具の磨り

昔から、呉須はすればするほど良いと言われ、陶家の若い弟子さんの仕事は呉須磨りだったそうです。 cimg3651京都の窯元では、呉須は機械で1週間ほど磨り続けるそうです。 機械は、ボールミルと言うものが使われますが、磁器製の乳鉢と乳棒で、手磨りをするのが良いと言われます。京都では、染めつけはガラス板と乳角棒を使って、磨りながら、且つ、水分と濃さを調整しながら、絵付けをするようです。
有田では、磁器の茶碗と乳棒を使うそうです。

磨る方法は、茶汁を使います。茶に含まれているタンニン酸で、伸びのよい、絵付けが出来るそうです。 乳鉢に入れて古い茶汁で、水気がなくなるまで磨り、そして、又、茶汁を補給して磨るの繰り返しだそうです。 やってみると、大変根気のいる作業になります。

上の容器は100円ショップで買ったもので、こんな容器に入れておけば、茶汁を加えるとき便利です。 3ヶ月以上放置した茶汁です。 この方が発色が良いと教わりました。

筆と絵の具

やきものの絵付けを陶画とも言います。 描いてみたら分かりますが、表面が硬く、穂先が切れ易く、硬い動物の夏毛が良いそうです。

骨書き(輪郭)には面相筆、だみにはだみ筆を使います。面相筆

面相筆は、穂先と腰の強い毛質が必要で、漆の蒔絵に使う根朱筆(ねじふで)がいいそうです。 昔は、犬の尻尾の毛を使ったり、その又昔は、千石船の中にいる鼠の背筋の毛か、脇の下辺りのの長い毛で筆を作ったそうです。

だみ筆は、猫の背筋毛で作ったそうです。だみ筆は、毛先が長くて太く、水含みの良い毛が必要です。だみ筆だみ筆は、これで描くものでは在りません。 沢山の毛に呉須を吸わせて、呉須を作品に垂らして溜めて、それを広げる為の筆で、さらには、描き終わった最後には、余分な呉須を毛に吸わせることにも使います。
ですから、この様に沢山の毛がついた太い筆になっています。

呉須濃度の調整

呉須は4種類の濃度のものを準備します。骨描き用、だみ用 濃、中、淡の3種

骨書き用:

良く磨った呉須を茶汁で薄めます。 絵の具皿に呉須を取り分け、少しずつ茶汁を足して行きます。陶片に線を描いて見ます。濃すぎるとかすれます。 素焼で呉須の水分が急速に吸われますので線が伸びてくれません。 少しずつ、薄めて行き、線がす~っと伸びてくれるところを探します。 後は好みで調整します。cimg3611

骨書き用は、左のようにガラスの上に良く磨った呉須を取り分けて使います。 すぐに、水分が乾燥し、又、呉須は下に沈んで塊りますので、常に摺りながら、そして、水分を調整しながら濃さを調整して使います。

骨書きの呉須が濃過ぎると、釉薬をはじきます。

だみ用:

中だみの調整は、180cc(一合)の茶汁に10%位の呉須を加えたものを使います。 これを基準に濃、淡を調合します。cimg3622 18ccと言えば、ティースプーン3杯ほどですので、かなり薄くなります。 薄く滲んだところまで、本焼きすると発色しますので、軽く色が付く程度で十分で、こんなに薄めていいのかと思うほどシャバシャバで大丈夫です。

後は、描いて、本焼きして、経験を積むしかありません。。テストピースを作るのも一つでしょう。 だみ用の呉須は、特に直に沈殿しますので、常に攪拌すると共に、沈殿して塊りますので、乳棒で時々磨ってやることも大事です。 これを怠ると、だみの濃さがいt

割付、念紙写し

絵付けの前に、素地の表面についているほこりを、刷毛や、固絞りの布で拭いておきます。

下描きは、素地に木炭で軽く文様の”あたり”(割付)をして、赤インクを薄めたもので描きます。 青インクや鉛筆は残ったり、その油成分がありますので、鉛筆の場合はHの鉛筆を使います。

沢山つくったり、文様を写し取りたいときは、念紙と言うものを使います。 念紙の作り方は、念紙墨と言う粘着性のある墨と、美濃紙を使います。 念紙墨は、瓢箪を焼いた炭粉か懐炉灰かを用い。乳鉢に、ふのり液を少し加えて混ぜます。 美濃紙を、描きたい文様に被せて、普通の墨や鉛筆などで写します。 ちょうどトレーシングペーパーのように。 次は、美濃紙の裏から、粘墨でその文様を写し取ります。 これで念紙の完成。。

念紙を作品に被せて、真綿や椿の派手なでるように押えて、文様を転写します。

ふのりとは

ふのり(布海苔、布苔、布糊)は、紅藻綱フノリ科フノリ属の海藻の総称。 フノリは古くには食用よりも糊としての用途のほうが主であった。フノリをよく煮て溶かすと、細胞壁を構成する多糖類がゾル化してドロドロの糊状になる。これは、漆喰の材料の1つとして用いられ、強い壁を作るのに役立てられていた。ふのり

ただし、フノリ液の接着力はあまり強くはない。このため、接着剤としての糊ではなく、織物の仕上げの糊付けに用いられる用途が多かった。

一般的にはふのり溶液にしてから使用します。1Lの水に100gのふのりを小さく切って一昼夜浸します。その後、沸騰しないように煮て、冷ましてから漉して使用します。ふのり溶液は腐敗しやすい。

骨描きとだみ

骨描き

骨書き用、呉須を絵皿に取り、下絵付けに沿って、面相筆で文様を書いて行きます。作品を左手で持ち、右手で描きます。 その時、右手の指などで、手を固定していたほうが、細く均一な線が描けます。 そして、固定された手の範囲内で線を描いていきます。 このとき、勢いのある流麗な線を描きます。 余り下書きに忠実にやろうとするともたつきが出ます。pic_0308

又、素焼が水気を吸うため、長い線は引けません。 擦れたり、毛先がひっかっかっているような感触があれば、呉須がなくなってます。 呉須をつけて、書き足して行きます。 2度描きはしないほうがいいでしょう。 又、呉須をつける時は、その量を調整して、書き足しの始まりから、線が太くならないようにします。

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京都では、ガラス板に呉須を取り分け、茶汁で濃さを調整しながら、骨書きをやってました。 ガラス板の場合は、角乳棒が必要になります。

すぐに、水分が蒸発して、濃くなったり、呉須が、下に溜まってしまいますので、常に磨りながら、濃さの調整をやります。

有田の方法で、磁器の茶碗と乳棒のほうが、初心者は扱い易いと思います。 乳鉢と乳棒のほうが、求め易いということもあります。

茶碗の方が、呉須が集まってくれますので使い易いかと思います。 ラップを掛けておいて使うと、蒸発を抑えることが出来ます。

胴回りの横線などは、轆轤に載せ回して、筆を一点に固定して描きます。 描き終わりには筆先をゆっくりと外して、線からはみ出さない様にすることも大事です。 陶器の表面で、毛先が痛みますので、良質な筆は使わない方が良いかと思います。

だみ描き

だみ描きには、文様の輪郭の中を塗る、”骨だみ”と背景を塗る”地だみ”があります。

だみは、だみ呉須を、大きなだみ筆の毛先全体にたっぷりと付けます。 そしてだみ筆を、への字のように曲げ、だみ呉須を垂らして、その溜まりを筆の先で引っ張って広げていきます。この時の筆先の動きは、鱗のように動かしながら、上から下絵。。最後まで、広がったら。毛先をタオルなどにあて、最後に溜まった呉須を今度は毛先で、吸い上げます。。毛先で素焼面を触ると、その毛先跡が残ります。 これが、だみでもっとも難しいところではないかと思います。だみ筆

どうしても、斑が出るのであれば、淡だみを2回以上重ね塗りします。この時も、出来るだけ、表面は触らないようにすることが肝要です。 又、重ね塗りをするだけ、色は濃くなります。 この技法は薄瑠璃と言われるそうです。 色が濃くなった分、斑も目立たないようになります。

プロの職人さんは、毛の根元の部分を持って、絞ったり、緩めたりして呉須の流れを

“つけたて”と”ぼかし”

つけたて筆と言う、大きめの筆、一気に絵付けをする方法もあります。 例えは葉っぱを、輪郭なしで、一筆で描くような技法です。 淡墨を使えば、没骨技法ですが、濃い墨を使って描きます。 没骨(もっこつ)は読んで字のごとく、輪郭(骨書き)がない描き方です。%e4%bb%98%e7%ab%8b%e3%81%a6%e7%ad%86

水彩でやる、ぼかしの技術も使われます。 二通りの技法があって、太めの筆にだみ呉須を含ませて、毛先に骨書き用の呉須をつけてぬる方法、そして、2本の筆を使う方法。 一つが骨書き用呉須、もう一つは、茶汁や水をつけて描く方法で、水彩画でも味のある絵付けが出来ますね。 これと同じです。 骨書きをして、もう一本の筆で滲ませます。 葉っぱなどで、濃淡をつけるのに有効な技法です。


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