陶芸 鋳込み用石膏型の製作の基本 Part I 焼石膏の基本知識


陶芸用 焼石膏とは

いろいろなメーカーから、石膏が販売されています。その内の焼石膏(しょうせっこう、やきせっこう)と言うものを使います。

焼石膏はプラスターなどともいわれる。古代から美術、建築に使われているもので、日本では明治末期から陶磁器業界で用いられるようになったそうです。

石膏を粉砕して平釜(ひらがま)に入れ、150~200℃で2~4時間焼したのち、大気中熟成によって水分を吸収させてつくるそうです。

焼石膏の使い方 基本的な手順

水と焼石膏、器具の用意

石膏の粉量と水量は、正確に計算して使います。石膏スラリー(石膏を水で溶かしたもの)をつくるための容器や攪拌器具は、毎回よく洗ってから使う事が大事です。

※水は、約20℃のきれいな水を使用。
※石膏の標準混水量より少ない水で無理に攪拌・成型しないこと。

標準混水量とは、石膏を水で溶かしてスラリーを作る水の量の事で、石膏でその標準的な混水量率が決まってます。

この混水量はメーカーによって違うため、使う石膏のメーカーで標準を混水量を確認する必要があります。 このデーターはホームページなどで公表されてます。標準の混水量以外で成型した場合、成型物の不均一または攪拌不十分となり、強度にムラがでたり、気泡が十分に脱出しなかったりする可能性があります。ですから、この混水量は、石膏を使うときに絶対押さえて置くべき事項です。

石膏の投入

石膏の量は、石膏を流す体積と混水量で決まります。必要な石膏粉量を計算して、必要な水を容器に用意します。容器は、後の攪拌作業があるために、円柱状の少し大き目の丸い容器を準備します。下の写真の取っ手付きステンレス製ビーカー見たいなものがあれば、ベストです。体積を示す、目盛がありますので、水を正確に準備することが出来ます。

次に、石膏を水中に投入します。その際、一気に投入するのではなく、園芸用のプランタースコップなどを使って、パラパラと静かに少量ずつ撒くように投入して、石膏が自然に沈殿させます。一時期に投入すると、スラリーに空気が潜伏し、成型物に気泡が残る原因となります。

投入後はそのまま1~2分間静置し、石膏粉を十分水に浸してから攪拌します。

攪拌

攪拌中。竹のへらを使ってますが、丸棒が良い。 この平板では、空気が入り泡立ちます。

攪拌するには、丸いすりこぎ状の棒を使います。平板では、空気を抱き込んでしまします。一方向に、空気を抱き込まない様にそして出来るだけ早く攪拌します。

この攪拌で、水と石膏が均一に混じります。

攪拌する時間は、石膏の量にもよりますが、攪拌し続けると、石膏に少し粘り気がでてきて攪拌棒が多少重く感じられるのがが目安です。

攪拌して数分では、軽く感じるはずですが、5分前後で、少し、粘りが出て重たくなり、表面の気泡もほとんどなくなります。

攪拌が不十分の場合、硬化が遅れてしまいます。また反対に、必要以上に攪拌した場合、ケースに流し込めなくなったり、石膏の結晶がこわれて強度が弱くなったりします。

この重みを感じるのは、少し経験が必要かも知れません。メーカーによっては標準的な攪拌のデーターも公開しているところもあります。

攪拌の時間が短すぎると、石膏が均一に混じらず、又、スラリー中の気泡も多く残ります。逆に長すぎると、スラリーが容器内で硬化が始まり、不均一な石膏になります。

流し込み

前述のように、十分な攪拌が終わり、少し重くなって来たら、気泡を抱き込まないように型枠の隅の方から静かにすばやく流し込みます。 素早くです。時間を掛けると容器内で固まり始まります。

ゆっくり流し込むと、最初に流したものとの間に不均一が起こってしまいます。流し込んだら、石膏枠を軽く叩いて振動を与え、スラリーの気泡を抜きます。

素早く流し込み、そして振動をすぐに加えます。スラリーの表面に空気の泡が出て来ます。

もし可能であれば、手回し轆轤の上に、型枠を載せて作業をしましょう。轆轤の上に板を載せ、型枠を。この方がいろいろな局面で作業がし易くなります。

空気抜きの時は、轆轤を軽く持ち上げ、とんとんと振動を与えることで、空気も抜き易くなります。

脱型

石膏は35~45℃に発熱しながら固まります。通常は石膏の温度が最高点に達してから、少し後に脱型をします。

でも、この石膏の発熱を待つと石膏が完全に固まってしまいます。硬くなった石膏の仕上げは思いの他大変です。

ここで、ヒント!

石膏表面の水がなくなり、指で押さえても凹まなくなったら、型枠を外します。指で押して、凹まなくなったら、石膏がある程度硬くなったサインですから、このタイミングで、枠を外し、石膏がまだ柔らかい内に、スチールやプラスチックの物差しなどで、表面を素早く均し、余分な石膏の除去をします。

石膏は、あっと言う間に硬化しますので素早く、この作業をします。

勿論、硬化してから、石膏カンナで仕上げることも可能ですが、硬化すれば、仕上げに時間もかかります。この作業でラフに仕上げておいてから、30分程して石膏の温度が最高点に達した、少し後に石膏カンナで仕上げてやれば、綺麗な石膏型が効率的に作れると言う訳です。

成型物の乾燥

左 タンブラー原形 右:鋳込み用石膏型

乾燥はなるべく低温で行います。(45℃の風通しのよい環境が最適)
乾燥温度が高すぎると(60℃以上)、脱水分解し強度の低下をまねいたり、摩耗を早めたりします。また、乾燥不十分だと、強度が弱くなってしまうことがあります。

乾燥時間は、成型物の大きさ・形状・乾燥方法により異なりますが、1㎏の型の場合、45~55℃で約24時間(通常室温・風通しの良い場所では約1週間)を目安に乾燥させます。

冬場などは、焼成室の窯の近くの温度の高いところに置いておけばいいでしょう。でも、高温は厳禁ですので、前述の温度内で乾燥を心掛けましょう。

石膏取り扱いの留意点・注意事項(メーカーの注意事項を良く確認し遵守する事)

1.粉末が目に入らないように注意。

万一目に入った時はすぐに大量の流水で洗浄し、眼科医の診断を受ける。

2.粉塵の吸入を避ける。

公的機関が認可した防塵マスクを着用すること。粉塵を長期間吸入すると呼吸器の炎症、障害を起こすことがある。

3.皮膚が過敏な人やアレルギー体質の人

石膏スラリーが手や皮膚に触れないようハンドクリームを塗布、ゴム手袋を着用して取り扱ってください。石膏スラリーが手や皮膚に触れると炎症を起こすことがあります。

4.石膏は吸湿性が高く、雨・水濡れ・湿気厳禁

石膏は、メーカーの梱包のものを、ビニールのごみ袋などにいれて保管した方が安全です。又、石膏の取り出しなどに使ったミニスコップなどは、洗わず、乾燥したまま、袋に入れておきます。

5.使用前、使用中も含め密閉し、高温・多湿の場所を避ける。

結露水が発生しやすい所、湿気の高いところ、床や壁面に直接に接したところでの保管などは避けてください

6.小児の手の届かないところに保管

7.使用前に包装や説明書に記載の注意事項をよく読む事。

8.   下水の詰まりにご注意

石膏スラリーを下水に流すことは絶対不可です。清掃や、残ったスラリーは新聞紙などで良く拭き、固まってから廃棄します。

石膏廃棄用のバケツなどを準備して、一時的に保管して、廃棄した方がベストです。(産業廃棄物の可能性もあります)

焼石膏の性質(メーカーの情報を確認しよう)

混水量と、吸水率・耐伸強度の関係について

混水量の増加とともに、流し込み開始時間は長くなり、吸水率は大となりますが、耐伸強度は低下します。出来るだけ、メーカーの混水率を使います。

流込開始時間と、硬化終結時間・耐伸強度・気泡の数について

標準の流込開始時間に、流し込むのが最適です。これより早く流し込んだ場合、また遅れた場合は、問題が生じます。標準の流し込み時間より、早いと石膏中の気泡が多くなります。

でも、石膏の量や、混水量、そして環境温度によってベストな流し込むタイミングが変わる可能性がありますので、攪拌を始めてから、少し重たくなった時を経験で覚えましょう。

成型後1週間の耐伸強度の変化について

通常、室内に放置しておくと、成型後3~4日までは耐伸強度は低下し、その後乾燥するにしたがって耐伸強度は強くなり、やがて成型物のもつ最高強度に達します。ですから、出来上がった石膏型を使うまでは、一週間は空けた方が良いでしょう。

石膏量と混水量

必要な石膏と水の量を計算するための手順は、石膏で埋める体積の計算。これが≒石膏量になります。1000㎤の体積であれば、約1kgの石膏。 この石膏に必要な混水量は、1000cc x 0.74(標準の混水率)=混水量 740ccとなります。

必要な石膏の量の体積計算は、説明する必要はありませんが、石膏型枠体積ー原形体積です。

石膏厚は、3cmが必要ですので、原形寸法に上下左右に3cmを足したのが、石膏枠の寸法になります。


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