陶芸 鋳込み用石膏型の製作の基本 Part I 焼石膏の基本知識


陶芸用 焼石膏とは

いろいろなメーカーから、石膏が販売されています。その内の焼石膏(しょうせっこう、やきせっこう)と言うものを使います。

焼石膏はプラスターなどともいわれる。古代から美術、建築に使われているもので、日本では明治末期から陶磁器業界で用いられるようになったそうです。

石膏を粉砕して平釜(ひらがま)に入れ、150~200℃で2~4時間焼したのち、大気中熟成によって水分を吸収させてつくるそうです。

焼石膏の使い方 基本的な手順

水と焼石膏、器具の用意

石膏の粉量と水量は、正確に計算して使います。石膏スラリー(石膏を水で溶かしたもの)をつくるための容器や攪拌器具は、毎回よく洗ってから使う事が大事です。

※水は、約20℃のきれいな水を使用。
※石膏の標準混水量より少ない水で無理に攪拌・成型しないこと。

標準混水量とは、石膏を水で溶かしてスラリーを作る水の量の事で、石膏でその標準的な混水量率が決まってます。

この混水量はメーカーによって違うため、使う石膏のメーカーで標準を混水量を確認する必要があります。 このデーターはホームページなどで公表されてます。標準の混水量以外で成型した場合、成型物の不均一または攪拌不十分となり、強度にムラがでたり、気泡が十分に脱出しなかったりする可能性があります。ですから、この混水量は、石膏を使うときに絶対押さえて置くべき事項です。

石膏の投入

石膏の量は、石膏を流す体積と混水量で決まります。必要な石膏粉量を計算して、必要な水を容器に用意します。容器は、後の攪拌作業があるために、円柱状の少し大き目の丸い容器を準備します。下の写真の取っ手付きステンレス製ビーカー見たいなものがあれば、ベストです。体積を示す、目盛がありますので、水を正確に準備することが出来ます。

次に、石膏を水中に投入します。その際、一気に投入するのではなく、園芸用のプランタースコップなどを使って、パラパラと静かに少量ずつ撒くように投入して、石膏が自然に沈殿させます。一時期に投入すると、スラリーに空気が潜伏し、成型物に気泡が残る原因となります。

投入後はそのまま1~2分間静置し、石膏粉を十分水に浸してから攪拌します。

攪拌

攪拌中。竹のへらを使ってますが、丸棒が良い。 この平板では、空気が入り泡立ちます。

攪拌するには、丸いすりこぎ状の棒を使います。平板では、空気を抱き込んでしまします。一方向に、空気を抱き込まない様にそして出来るだけ早く攪拌します。

この攪拌で、水と石膏が均一に混じります。

攪拌する時間は、石膏の量にもよりますが、攪拌し続けると、石膏に少し粘り気がでてきて攪拌棒が多少重く感じられるのがが目安です。

攪拌して数分では、軽く感じるはずですが、5分前後で、少し、粘りが出て重たくなり、表面の気泡もほとんどなくなります。

攪拌が不十分の場合、硬化が遅れてしまいます。また反対に、必要以上に攪拌した場合、ケースに流し込めなくなったり、石膏の結晶がこわれて強度が弱くなったりします。

この重みを感じるのは、少し経験が必要かも知れません。メーカーによっては標準的な攪拌のデーターも公開しているところもあります。

攪拌の時間が短すぎると、石膏が均一に混じらず、又、スラリー中の気泡も多く残ります。逆に長すぎると、スラリーが容器内で硬化が始まり、不均一な石膏になります。

流し込み

前述のように、十分な攪拌が終わり、少し重くなって来たら、気泡を抱き込まないように型枠の隅の方から静かにすばやく流し込みます。 素早くです。時間を掛けると容器内で固まり始まります。

ゆっくり流し込むと、最初に流したものとの間に不均一が起こってしまいます。流し込んだら、石膏枠を軽く叩いて振動を与え、スラリーの気泡を抜きます。

素早く流し込み、そして振動をすぐに加えます。スラリーの表面に空気の泡が出て来ます。

もし可能であれば、手回し轆轤の上に、型枠を載せて作業をしましょう。轆轤の上に板を載せ、型枠を。この方がいろいろな局面で作業がし易くなります。

空気抜きの時は、轆轤を軽く持ち上げ、とんとんと振動を与えることで、空気も抜き易くなります。

脱型

石膏は35~45℃に発熱しながら固まります。通常は石膏の温度が最高点に達してから、少し後に脱型をします。

でも、この石膏の発熱を待つと石膏が完全に固まってしまいます。硬くなった石膏の仕上げは思いの他大変です。

ここで、ヒント!

石膏表面の水がなくなり、指で押さえても凹まなくなったら、型枠を外します。指で押して、凹まなくなったら、石膏がある程度硬くなったサインですから、このタイミングで、枠を外し、石膏がまだ柔らかい内に、スチールやプラスチックの物差しなどで、表面を素早く均し、余分な石膏の除去をします。

石膏は、あっと言う間に硬化しますので素早く、この作業をします。

勿論、硬化してから、石膏カンナで仕上げることも可能ですが、硬化すれば、仕上げに時間もかかります。この作業でラフに仕上げておいてから、30分程して石膏の温度が最高点に達した、少し後に石膏カンナで仕上げてやれば、綺麗な石膏型が効率的に作れると言う訳です。

成型物の乾燥

左 タンブラー原形 右:鋳込み用石膏型

乾燥はなるべく低温で行います。(45℃の風通しのよい環境が最適)
乾燥温度が高すぎると(60℃以上)、脱水分解し強度の低下をまねいたり、摩耗を早めたりします。また、乾燥不十分だと、強度が弱くなってしまうことがあります。

乾燥時間は、成型物の大きさ・形状・乾燥方法により異なりますが、1㎏の型の場合、45~55℃で約24時間(通常室温・風通しの良い場所では約1週間)を目安に乾燥させます。

冬場などは、焼成室の窯の近くの温度の高いところに置いておけばいいでしょう。でも、高温は厳禁ですので、前述の温度内で乾燥を心掛けましょう。

石膏取り扱いの留意点・注意事項(メーカーの注意事項を良く確認し遵守する事)

1.粉末が目に入らないように注意。

万一目に入った時はすぐに大量の流水で洗浄し、眼科医の診断を受ける。

2.粉塵の吸入を避ける。

公的機関が認可した防塵マスクを着用すること。粉塵を長期間吸入すると呼吸器の炎症、障害を起こすことがある。

3.皮膚が過敏な人やアレルギー体質の人

石膏スラリーが手や皮膚に触れないようハンドクリームを塗布、ゴム手袋を着用して取り扱ってください。石膏スラリーが手や皮膚に触れると炎症を起こすことがあります。

4.石膏は吸湿性が高く、雨・水濡れ・湿気厳禁

石膏は、メーカーの梱包のものを、ビニールのごみ袋などにいれて保管した方が安全です。又、石膏の取り出しなどに使ったミニスコップなどは、洗わず、乾燥したまま、袋に入れておきます。

5.使用前、使用中も含め密閉し、高温・多湿の場所を避ける。

結露水が発生しやすい所、湿気の高いところ、床や壁面に直接に接したところでの保管などは避けてください

6.小児の手の届かないところに保管

7.使用前に包装や説明書に記載の注意事項をよく読む事。

8.   下水の詰まりにご注意

石膏スラリーを下水に流すことは絶対不可です。清掃や、残ったスラリーは新聞紙などで良く拭き、固まってから廃棄します。

石膏廃棄用のバケツなどを準備して、一時的に保管して、廃棄した方がベストです。(産業廃棄物の可能性もあります)

焼石膏の性質(メーカーの情報を確認しよう)

混水量と、吸水率・耐伸強度の関係について

混水量の増加とともに、流し込み開始時間は長くなり、吸水率は大となりますが、耐伸強度は低下します。出来るだけ、メーカーの混水率を使います。

流込開始時間と、硬化終結時間・耐伸強度・気泡の数について

標準の流込開始時間に、流し込むのが最適です。これより早く流し込んだ場合、また遅れた場合は、問題が生じます。標準の流し込み時間より、早いと石膏中の気泡が多くなります。

でも、石膏の量や、混水量、そして環境温度によってベストな流し込むタイミングが変わる可能性がありますので、攪拌を始めてから、少し重たくなった時を経験で覚えましょう。

成型後1週間の耐伸強度の変化について

通常、室内に放置しておくと、成型後3~4日までは耐伸強度は低下し、その後乾燥するにしたがって耐伸強度は強くなり、やがて成型物のもつ最高強度に達します。ですから、出来上がった石膏型を使うまでは、一週間は空けた方が良いでしょう。

石膏量と混水量

必要な石膏と水の量を計算するための手順は、石膏で埋める体積の計算。これが≒石膏量になります。1000㎤の体積であれば、約1kgの石膏。 この石膏に必要な混水量は、1000cc x 0.74(標準の混水率)=混水量 740ccとなります。

必要な石膏の量の体積計算は、説明する必要はありませんが、石膏型枠体積ー原形体積です。

石膏厚は、3cmが必要ですので、原形寸法に上下左右に3cmを足したのが、石膏枠の寸法になります。


陶芸 大鉢の染付と本焼き


 長い間、大鉢の製作に取り組んで来ましたが、左の写真のように本焼きが上がりました。

半磁器土の作陶から始まって、磁器へ。直径約30cm位の、言わば尺に近い大きさの作品ですが、作陶の方は電動轆轤であれば、30分ほどで出来るようになりました。強い気持ちを持って臨めばなんでもできるもんです。

フォルム的にはもう少し、高台をスリムにして、横幅をもう少し広げる形が良いかと最終の作品を見て思います。そうは思いませんか? 人の好み次第と言うこともあるでしょうけど。

4kg程度の土で、20cm程の筒上げが出来れば、技術的にはそれほど難しいとは思えません。土が2kgもあれば、30cm位の筒上げは出来ますから、後は横に伸ばす量の土があれば十分。少し筒上げを厚めにすると言う意味です。

後は装飾。磁器土を選んだのは、やはり装飾は伝統の染付をやりたい。そこで、今日は染付の出来について書きます。

そして何と言っても難しいのが、施釉です。この作品でも苦労しました。なんせ、作品がデカい。通常の釉薬のバケツでは小さすぎて施釉が出来ない。そこででかいポリバケツに釉薬を移して施釉するんだけど、なかなか釉薬が綺麗に掛からない。指の痕や、釉薬のしずくの流れが残り、この修正が非常に難しい。

修正は、釉薬が完全に乾燥した段階でやります。濡れている状態では釉薬を少しずつ、剥いで行くのが難しいからですよ。剣先などのカンナで、削ってはならして行きます。

大鉢 蔦の絵付け

 アイキャッチ画像に使った作品で蔦を絵付けして見ました。呉須の深い青が磁器土の白い肌に、鮮やかにに発色してます。口縁の部分の口紅も上手く行きました。写真の茶色に見える部分です。
実は削り仕上げの時に高台を削り過ぎて、底中央に一円玉程度の穴を開けてしまいました。高台の高さを測定しての作業でしたが、どこで間違ったのか。

と言うことで、植木鉢に急遽変更したもので、置物としても、そして植木鉢としても使える作品です。
では、細部を見て見ます。写真はギャラリー形式で。

だみの濃度のバラツキは、これだけの葉っぱをだみしますから、同じ呉須を使っても最初と最後では、濃度がだんだんと薄くなって行くのは当たり前ですよね。 骨書きの要領と同じで、どれだけ描いたら、呉須を補充するのか決めておく必要があります。

プロの職人さんの評価は、骨書きのむらをもう少し抑える。特に、薄い線は無くして骨書きを均一にすれば、全体がもっと引き締まるとの事でした。素人としては十分だけど、プロの目にはそう見えるそうです。 その通りですね。 素人の私の目にも。

大鉢 龍の染付

 内外に龍の染付をして見ました。

少し、描き過ぎたでしょうか。描き始めるとあれもこれもになってしまう悪い癖。

龍は縁起物ですので、気に入ってくれる人もいるかな。

次は細部をギャラリーで。

龍はやはり迫力がありますね。前述の龍の顔をもう少し目立つように下記の通りたい。上絵で、龍の口に金の珠を咥えさせたり、龍の目を赤にしても面白いかも。でも、折角、染付で仕上げたのだから今回はこれで行きます。

中鉢 花々の絵付け

こんな作品です。他のものと比べると一回り小さな作品。

色んな花々を描いて見ました。正面内側に見えるのが菊の絵付け。菊の花に舞う、蝶々と小鳥なども描いて見ました。そして、この作品のメインポイントは、外側に描いた、菊、梅、そしてユリの花でしょう。 もう少し、生きたのびやかな線が描けたらいいなと思います。

これらの作品の出来の評価は読者にお任せしますが、素人の陶芸家の作品としては、それなりかと。 他に4点ほどの作品もあり、絵付けのモチーフは違いますが、概ねこの程度の仕上がりになってます。
この7点だけの作品だけでも、ミニ個展でも開けそう。でも、目の肥えた陶芸愛好家はどう評価するのか? 他人の評価は怖いな。。。

最近の作品はだんだんと大きくなって来てます。取り敢えず、このシリーズは終了。 そして今は、尺皿を2点ほど。 一点の半磁器は底割れが出てました。削りで全て除去したつもりですが、素焼きでどうなるか?

そしてもう一点は、40cm程の大皿。これは100%磁器土。内側に鎬を削りで入れて見ました。40cmものの大皿を分割して、手彫りで20分割の鎬をつくって行く作業は結構大変でした。昨日素焼きに出して来ましたのでどう仕上がるか。

 


陶芸鋳込み タンブラーの削り仕上げと装飾。染付絵付け 


タンブラーの鋳込みについて掲載して来ました。

鋳込みの技術はこんな簡単な形状で、一体型の石膏型であれば、泥漿の作り方を間違わなければ、そんなに難しくありません。
 鋳込みついて一点。 左の写真が鋳込みで作ったもの、鋳込みの作品も削りが必要です。内側は削る必要はありませんが、外側の石膏に触れている部分は軽く一皮剥く感じで削りをします。 磁器土ですから、硬めに乾燥した状態で超硬カンナで削り仕上げます。
高台周りなども仕上げてやります。 又、口縁も竹べらで余分な土を切り落としてますが、口当たりの部分ですので、削り仕上げをします。

タンブラーの装飾 染付

鋳込みの技術は何と言っても、同じ作品が沢山出来る事。 この作品は、本焼きの完了の状態で、150mm以上の大きさになりますので、これを轆轤で挽くのは轆轤の相当の技術がないと、この直線的な作品を作るのは難しいでしょう。 これが鋳込みの良さですね。 質の良い原形であれば質の良い作品がいくらでもできます。 でも、それで、終わりではありません。どう仕上げるか。 装飾、そして、釉掛けと言う次のステップが待ってます。

今度のものは、染付の仕上げをして見ました。 植物画と蝶の絵付け、そしてアクセント的に轆轤線を入れて見ました。

呉須を使った染め付けの方法については、私の別のビデオを見て貰って基本を理解して練習をしていただければ、だれでもある程度は描けるようになります。

上の写真の葉脈を見て下さい。まだまだプロの域には達しませんが、この線は面相筆で描いてます。ここまで、細く、ある程度揃った線が描けるようになれば、どんな絵でも描けます。

蝶を沢山描いてますが、所詮、線と線との組み合わせですから、集中力と根気があれば、この程度の絵付けは誰でも描けます。

絵付師さんから教わっている中でもっとも大事なことは、線の濃さを出来るだけ均一化させることだそうです。 薄い線描きや、濃淡に斑があると迫力のある絵付けにはなりません。

日本伝統の小紋 ”麻の葉”の絵付け YouTube

日本にはいろいろな伝統の文様があります。小紋と言います。 これらの文様は、着物などに多く用いられたものですが、陶芸にも多く使われてます。 例えば:

  • 七宝、りんず、麻の葉
  • 青海波、網目等
  • 動物 鶴、亀、鳥、馬、鹿、猪
  • そして、良く用いられる植物。桜、梅、紅葉、菊、松、竹等々

これらの文様の描き方はポイントを押さえれば、それほど難しくはありません。このタンブラーなどにこの様な絵を配することで、あなたの作品のレベルがぐっと高まります。

 これが麻の葉。基本的には、沢山の直線の組み合わせだけです。6本の直線の組み合わせですが、これだけの麻の葉を描くには相当の集中力と持続力が要求されます。

本焼きが仕上がると、線が抜けていることに気付いたりして、この作品も線が一本抜けてます。 さてどこでしょう? 探して見て下さい。今気づいたんですが、2本ですね。鉛筆での下書きをしてますので、鉛筆の線に惑わされて抜けが出ます。

この作品は小物の花瓶、又は置物として使います。三角と四角のたたらの組み合わせ、14面のマルチファイスと勝手に言ってますが、麻の葉の絵付けは、4面にしてます。

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陶芸鋳込みの技法 原型作りから鋳込みまで


陶芸の技法っていろんなものがあるもんですね。手回し轆轤での紐作り、たたら作り、型作り、電動轆轤つくり、そして鋳込みなど。

今日はその鋳込みです。長い間、鋳込みをやって見たかった。あの石膏型に文字通りのドロドロの泥を流し込んで。

でも、それには又又、多くの技術が必要なんです。それを一から習得していくのもこれ大変。又、チャレンジの始まり。 これはとても、一人ではできない。 これが私の鋳込みの初体験です。

取り敢えず触りの部分から、鋳込みは何ぞや当たりが分かっていただければいいかな!

自分で鋳込みで作ったタンブラーを家で使っているんですが、水一杯を飲んでも、本当に旨い。 それを紹介します。

鋳込み型と原形

左の写真が鋳込み型の型を作るための粘土原形です。

粘土原形は乾燥させずに半乾きになったら削り仕上げをして、そこで石膏を流して、型を取ります。

そして、窯の近くに放置して乾燥させると原形は乾燥でちぢみ、石膏型は逆に膨張するため、逆さまにすると、粘土の原形がころりと出て来ます。。。。なるほど!

”やったー!”と思わず心の中で呟く。 まるで子供が欲しかった玩具が手に入った時のような喜び。。。

この原形はお役目ごめんで廃棄。 もう一度型の原形に使えないのかなと思っても使えないそうです。その理由は良く分かりませんが、多分に石膏が付着しているのと、粘土がカチカチに乾燥しているからだと思います。
そして出来上がったのがこの原形。石膏型の取り方に興味がある人は多いでしょうが、それ程難しくはありません。石膏袋の説明を見れば出来ます。

この型は一体型ですので、轆轤面に伏せて、3cm程の間隔を空けて塩ビ―シートで囲います。そして、石膏を流します。又、いつか動画でも作ります。

泥漿作り

これで、鋳込みが出来るぞと思いながらも、まだ作業が残っていた。 泥漿を作らねば。 泥漿と言うのは、磁器土を水に溶かしたものに、珪酸ソーダを足したもので、どろどろの、釉薬の濃ゆいもの見たいな液体の土です。

泥漿の作り方には二つの方法があります。①生の磁器土、②磁器土の乾粉を使う方法。 今回は②の方法です。

先月から、磁器土の削りカスと失敗作の粘土を貯めていましたので、これを原料に使います。余談ですが、磁器土、再生が効きませんので、廃棄するのは勿体ない。 では手順を。

  • 削りカスと塊を分ける。何故かと言うとカスと失敗作品では、水の含有量が違うからです。 泥漿をつくるには、水の量を計算してつくります。
  • 乾燥した粉を、篩(ふるい)に掛けます。 60番程度の篩は相当目が細かいので、砂粒程度のものが溜まります。 その粉を天日に当てて乾燥。
  • 粉を計測して。 ちょうど3kgありました。
  • 水に加える。 水の量は、粉が溶けた時に一番上が、水の上にくる程度に。 固めにします。
  • 今回は、1500ccの水に対して、粉を入れました。 水をバケツに入れて、上から降りかけるように。 ドバっと投入するとだまになってしまいます。そしてゆっくりと沈殿させ、全てを入れ終わったら、軽く上から押さえてやって、水を含ませてやります。
    手で攪拌。乾燥した粉がないように、且つ、だまは潰して行きます。 今回は、もう一度、60番の篩を通してやりました。 これで、土の準備完了。

泥漿作り 珪酸ソーダ―(水ガラス)

上の作業で、質の良い泥漿が出来ました。このままで石膏型に流し込んでも、短時間では鋳込みは出来ません。珪酸ソーダ、俗にいう水ガラスを加えます。

珪酸ソーダ―の量は、土の5%程度が基本です。この場合は乾粉3kgに水を1500cc加えてますので、0.3%程度にします。厳密には、土の水分含有量などを計算した上で設定しますが、今回は、熟練した職人さんの感も生かし、この値です。

3000グラム X 0.03=9グラム。 9グラムと言えば、小さじ3杯ほどの量です。

少し硬めだった泥漿に、僅か三杯の量の珪酸ソーダ―を加えて掻きまわすと、トロトロとした感じになります。このとろとろの具合を見て、珪酸ソーダの適切な量を決めています。

そして、もう一度、別のバケツに篩にかけて、移し替えます。この理由は二つあって、だまを取る。 そして、空気を取ると言う事だそうです。 どちらも、型に流し込んだ際、不具合の原因になります。

鋳込み作業

 

あとは鋳込むだけ。 ここまで出来たら鋳込みの準備は完了。石膏型は乾燥させておきます。

鋳込みのやり方は、YouTubeにビデオをアップしましたので見て下さい。

主な手順は以下の通り。

  1. 泥漿の攪拌: 泥漿を良く攪拌。流し込み用の容器に篩を通して泥漿を移します。
  2. 泥漿の空気抜き:容器を揺らして、泥漿の空気を抜きます。
  3. 泥漿を流し込み:中央に流し込むようにして、上までいっぱい。表面張力している泥漿に強く息を吹きかけ、型に泥漿がはみ出す程度に。型の肉厚は30mmありますので、外へ流れることはありません。
  4. タイマーセット: 事前にキッチンタイマーで、時間をセット。 今回は10分ほど。泥漿の水分が石膏型に吸い込まれて硬化して行きます。 ですから、この硬化したものが、作品の肉厚になります。 時間が短ければ、薄く。長ければ厚い作品になります。
  5. 泥漿流し出しの準備: バケツにたたら板2本を載せ、余分な泥漿をバケツに戻す準備をします。
  6. 泥漿流し出し: 10分経ちました。 型を胸の辺りに両手で持って、バケツの上で逆さまにして、泥漿を流します。 そして、たたら板の上に暫く放置して、余分な泥漿を流し出してやると共に、硬化した泥漿をさらに乾燥させます。 時間にして10~15分程度。
  7. 鋳込みの取り出し: タイマーのブザーが10分で鳴りました。、型と硬化した泥漿の間に僅かの隙間が、 型をげんこつでコツコツとたいたいてやり隙間を少し大きくします。

そして、トチを載せ、型を反転。 ゆっくりと型を外してやります。非常に柔らかいですから、慎重な作業が必要です。

”何と言う事でしょう” そこに、綺麗な原形通りの作品が滑り出して来ました。

思わず拍手をしてしましました。 これって感動もの。 だって、夢の鋳込み第一号です。

これを乾燥させて、後は削りです。

PS:トチと言うのは皆さんご存じないかも知れませんが、写真の下に見える、磁器製のもので、トップが少し傾斜したもので、お茶碗などの焼成に使ったりします。 これを使う事により、均一に歪みなく乾燥して縮んでくれます。

YouTube

百聞一見にしかず。 ビデオを見て下さい。

 


陶芸 ここが違うプロ絵付けの技 網目で鍛える染付


陶芸の楽しみで、是非やって見たい染付。 でも難しいと感じているあなた。絵心がないなんて言ってませんか。 でも、いい呉須と、道具があれば、後は練習でだれでもできるようになります。

道具と言っても、質の良い面相筆。言葉で、質を説明は難しいけど、陶芸の専門店の少し高めのものを選べば間違いないでしょう。

私がいつも買うのは京都の陶芸共同組合が販売している800円の面相筆。 プロの職人さんが使う道具です。

今日紹介する網目文様は”弘法さんも筆を選ぶ”で、骨書きが上手く描けないのは道具の性かも?

プロの網目絵付け

こちらは茶碗に現役の絵付け師が網目を染付したもの。 すごかないですか? 線の太さや網目の大きさが一定している。そして、網目の線の太さ、又、一本一本の線が生きていてのびやか。
職人さんは失敗作品だと言ってましたが、どこが失敗なんだろう。中央の放射線の線が3本ほど、少し濃くなっている部分かな?

職人さんの描き方

手回し轆轤と鉛筆を準備します。鉛筆は少し柔らかなものHB程度。 人によっては柔らかい鉛筆は油を含んでいるので、釉薬をはじくと言いますが、硬い鉛筆を使うと、硬い粉が残って、呉須で描くときの邪魔になります。
左の作品が描き始めですが、その前に、その外に描かれた鉛筆線が見えますか。轆轤線で描いたものと、縦に16分割した線が見えるでしょう。これが一つのポイント。
描き始めは、中央から、16分割に更に2本の線を入れて3等分。これで、48等分になりまね。


48等分になるとかなり細かくなりますので、12等分からスタートしても良いでしょう。それであれば、36等分。

最初の線は、直線、そして2段目は直線を閉じる感じで、三角形に。次は3段目。徐々に間隔が広がって行きます。この作品のように頂点から、直線で三角形の辺を描いて行ってもいいですが、間隔が広くなった5段目位からは少し丸味を付けても良いでしょう。

面相筆と言えども、連続で丸い線を描くのは非常に難しい技術です。特に筆の毛先が鋭角に曲がるものは特に熟練しないと難しい。

ですから、直線を繋ぐ形で描いて行きます。

網目の練習

上手くなるための秘訣。それは、沢山描いてみる事。描く度に何か新たな気付きがあります。兎に角描いてみる事。下の作品は、私の練習作品です。墨汁で紙の上で練習することも大事ですが、やはり、素焼きに描きたい。

少し、フラットなものが良いです。いきなり茶碗や湯呑は難しい。これは、蓋物の予備の蓋があったので、網の染付をやって見ました。

一番左が48分割。中央が36分割だったと思います。網目の線の太さや網目の大きさにバラツキがあります。 まだまだですね。(^^)

でも、そんなに簡単に上手くなったら面白くない。言い訳か。。この練習は、ごまかしも兼ねて、だみや、口縁部に他の文様を入れて絵付けの練習をしてます。中央のものは薄だみの練習。我ながら、濃さが均一で、筆跡がほとんど残ってません。

均一な染付のヒント 是非これだけは押さえておきたい。

昨日も、絵付師さんに指導を受けていたんですが、良い絵付けは、骨書きをしっかりすることがもっと大事だと言ってました。

骨書きが一定していれば、絵がしまってくる。だそうです。それに、少し、私の知識を加えれば、染付(骨書き)の成功の秘訣は以下の通りです。

  • いい呉須を使う。 ペースト状のものを使いましょう。私の窯元では呉須をボールミルにいれて一ヵ月連続で擦ってます。それほど、細かな質のいいものが必要です。
  • 骨書き用呉須 必ず、素焼き片で試し描きをします。下地が見えない事。下地が見えると白っぽくなります。そして、たっぷりと茶碗等に入れます。 高価なものですから、少し作りがちですが、これでは、筆に十分な呉須を含ませられないし、水分が蒸発して、濃く成ったり乾いてしまいます。
  • 筆のしごき方 たっぷりの呉須を筆でしっかりと下から攪拌します。そして、茶碗の縁で、しごいて余分な呉須を落とします。ここで大事な事。 しごきの回数ややり方を一定にします。そして、描く量も一定に。 例えば、網目であれば、線を10本描いたら、呉須を筆に付けるとか。 そうしないと、濃さに斑が出ます。
  • 筆の動かし方 筆の方向は、人によって好みが違います。上から下、左から右、右から左、左下から右上への斜め線など。自分の描きやすい書き方を見つけましょう。これに応じて作品を持つことです。 長い線を引くときは腕を動かし描きます。短い線であれば、指先でも描けますが、筆圧が変わらないように注意します。

練習作品の本焼き

こんな風に本焼きが上がりました。結構集中して描いたものですが、いい感じです。

この網目の技術がある程度マスターすれば、あなたの染付の技術が驚くような出来になるでしょう。
今回の本焼きでは、青海波のものも入れてますが、青海波の形が悪い事と、ダミの濃さが一定してません。これは、上に書いた注意点が自分自身で守られていないためですね。

即ち、青海波を幾つ描いたら、呉須を筆に付けると言うような事を決めずに描いているのが原因ですね。
青海波の形は円を半分描くようなものが描きやすいし、安定して見えます。

YouTube動画にも染付のヒントが沢山あります。時間があればアクセスしてください。